商材で訴求すべきはメリットや製品機能などではない

SIer様に限らず、一般的な商品紹介ページでは、メリットや製品機能ばかりを訴求しているページをよく見かけます。
「当社の製品は業界最高水準の性能を誇ります」「導入するだけで業務効率が30%向上します」といったアピールは、製品やサービスの優位性を伝えるための一つの方法かもしれません。
しかし、これらのアプローチが必ずしもお客様の心を動かすとは限らないのです。

メリットや製品機能というのは、えてして売り手側の論理であり、顧客視点が抜け漏れてしまっていることが多いのです。
売り手側としては、自社製品の優れた点を伝えたい気持ちは当然ですし、製品機能も必要ではありますが、そこにお客様自身のニーズや課題が明確に反映されていない場合、訴求力に欠けてしまっているといえます。
フォーカスすべきは「この製品は何ができるのか?」という視点ではなく、「この製品を使うことでお客様はどのような課題を解決し、どんな未来を実現できるのか?」という顧客視点なのです。

SIerの商材に限らず何のために商品を買うかというと、お客様が抱えている問題を解決するためです。
「どんな課題があってどのように課題を解決するのか」が明確になっていなければ、導入の決め手にはならないのです。
例えば、新しく経費精算システムを導入するケースを考えてみます。
このシステムが他社よりも30%早く分析レポートを作成することができますというメリットを掲げてもお客様には十分響かないのです。
なぜなら、その数字が直接的に自分たちの現状にどのようなメリットをもたらすのかが明確ではないからです。

Excel経費精算申請書を使って手作業で管理していたお客様が経費精算処理を導入することによって月次の経費精算処理に1週間かかっていたものが2日に短縮されましたといった事例が顧客視点に立った訴求ポイントになるのです。
システムのメリットを単に「スマートフォンで経費精算が可能」と伝えるだけではなく、「これまで経費精算をするためにわざわざ出社する必要があったが、このシステムの導入によって、どこにいてもスマートフォンから簡単に申請ができるようになり、出社の手間を削減できました」と訴求する方がよっぽど効果的です。
このように課題とその解決策をセットで伝えることで、お客様は自分たちの状況を具体的にイメージしやすくなります。

ここまでで商材で訴求すべきのはメリットや製品機能などではないというお話をしてきました。
訴求すべきは顧客視点に立った課題解決なのです。
この意味において営業やプリセールスの仕事というのは商品や商材を売ることではなく、お客様の課題を発見し、課題を解決する未来を描くのが仕事だといえるのではないでしょうか。
商材を通じてお客様の課題を発見し、その解決策を提供する。それが営業やプリセールスの真の価値です。
それが出来るようになれば顧客が商材を選ぶのではなく、あなた自身が選ばれる状態となっていることでしょう。

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