安易な値下げはすべきでない
SIerに限らず、値下げ交渉というのはどこの業界でも良く聞きます。
顧客に「もう少し安くならないか」と言われ、失注したくないからといってついつい値引きに応じてしまうという話も良く聞きます。
安易な値下げがもたらすデメリット、値下げをしないことによるメリットには次のようなものがあります。
No | 項目 | デメリット | メリット |
1 | 価格競争 | 次回以降も値下げを前提とした交渉が増え、人的コストが増える | 値下げ交渉の人的コストが減る |
2 | ブランドイメージ | 顧客に本来のサービス価格に見合っていないものと印象を与える | 価格競争をしないことで高品質、付加価値を持ったサービスとの印象を与える |
3 | 従業員の意欲 | 価格競争や利益確保のために現場の従業員の負担が増え、意欲が低下し、品質も低下する | 余裕を持って対応できるため、意欲が衰えず他社との差別化、付加価値を意識するようになる |
値下げによるデメリットは理解しつつも、どうしても値下げを迫られる場面もあるでしょう。
その場合でも最低限、次の内容については確認しましょう。
1. 作業内容を減らしてコスト削減できないか交渉する
作業内容を減らすことで値引きすることが可能になる場合があります。
例えば、現地で実施する内容をお客様の支援によってリモートから実施することによって工数を削減するといったことも考えられます。
2. 前提条件を変更してコスト削減できないか交渉する
作業内容に変更はなくとも前提条件を変更して値引きすることが可能になる場合があります。
例えば、夜間に実施する作業を平日日中帯に実施することで人2. 件費を削減できます。
他にも、年2回の現地対応作業を年1回の現地対応もしくはリモートからの対応作業にすることでも人件費を削減できます。
上記で記載したように作業内容且つ前提条件の変更なしに値引きすることはおすすめはしません。
それでもどうしても値下げをせざるを得ない状況であれば、売上ではなく営業利益で考えて許容できるかを判断していただきたいと思います。
売上だけで20%くらいは大丈夫と思っていても、営業利益でみてみると実は赤字になっていたというケースも何度もみてきました。
営業利益が多少赤字になってでも実績が欲しいという特殊な場合を除いて値引きに応じることはおすすめできません。
ここまでで安易な値下げはすべきでないという内容でお話してきました。
安易な値下げは、一時的な売上には貢献することはあるかもしれませんが、長期的な観点でマイナスになるリスクがあることを覚えていただきたいと思います。
価格競争に巻き込まれるのではなく、価格を下げるのではなく価値を作ること、価格より価値を伝えることに注力していただきたいと思っています。