SIerにおけるプリセールスのすすめ
サーバエンジニアだった自分がプリセールスを始めた頃は「お金のことなんか関りたくない、サーバのことだけに集中したい」と思っていましたが2年が経過する頃、プリセールスという職種に魅力を感じるようになりました。
やりたくないと思ってることでもやってみると意外と面白くなったりするものです。
営業と一緒にお客様のお困りごとをヒアリングし、ご要望に合わせて製品を選定し、メーカーに問合せしたり、打合せに同席してもらったりしながら受注を目指します。
受注後も構築チームや運用チームに引き渡しはするものの必要な時にフォローに入ります。
お客様とのやり取りでは時には矢面に立つこともあって大変なこともありますが、お客様からの感謝を直に感じることのできる仕事でもあります。
世の中にはたくさんの仕事がありますが「〇〇さんにお願いしてよかった」と言ってもらえる仕事は多くはないように思います。
SIerとしてプリセールスする上で次の3つのコントロールが重要です。
1. 期待値のコントロール
SIerの仕事というのは製品を販売して終わりではありません。
製品をお客様にご要望によってカスタマイズして導入し、場合によっては運用サポートまで実施します。
受注後にお客様が「こんなはずじゃなかった」とがっかりすることのないように今回の見積もりで実施する範囲をきちんとご理解いただく必要があります。
良い面だけではなく、悪い面もしっかりとお伝えし、期待値をしっかりとコントロールすることが重要でお客様からの信頼に繋がります。
お客様に信頼されることによって次の仕事に繋がることも多いですし、今後の受注までのプロセスが格段にやりやすくなります。
お客様にとっても初めての相手と契約する場合には内容をよく吟味する必要があり、たくさんの質問を受ける事になりますし、見積もりにある前提条件についても細かなチェックが必要となるのです。
一般的には新規のお客様を獲得するには既存のお客様の5倍のコストがかかると言われています。
2. 構築チーム、運用チームのコントロール
プリセールスが存在せず、営業だけの場合、受注後の品質は構築チームや運用チームの担当者に左右されます。
営業がお客様の立場にたってコントロールしようにも技術的に難しいと言われればそれ以上何も言えなくなってしまうのが通常です。
一方、プリセールスであれば構築チームや運用チームにも技術面で介入することが可能なのです。
お客様との接点が薄い構築チーム、運用チームはついつい自分たちが楽な方向に流れてしまいます。
そのような場面こそプリセールスの出番で技術面でこうあるべきでこれが顧客が望んでいることでそれは我々にとってもやるべき価値あることだと説得する必要があります。
プリセールスだからといってそこそこの技術力ではダメで、時には彼らを捻じ伏せるくらいの技術力が必要なのです。
3. 自身のコントロール
プリセールスの立場は孤独です。
営業ともエンジニアとも立場が違いますし、お客様と自社との関係においてもその中間ともいうべき微妙な立ち位置です。
その中で自分の信念に従って言うべきことは言い、譲るところは譲る必要があります。
自身のコントロールがなければどちらかに偏ってしまい、もう一方からの信頼を損ねてしまうのです。
ここまででSIerにおけるプリセールスについてお話してきました。
最近ではカスタマーサクセスという言葉も良く耳にするようになりましたが、カスタマーサクセスに一番近い技術職がプリセールスとテクニカル アカウント マネージャー(通称、TAM)ではないかと思います。
エンジニアには毛嫌いされる傾向の強いプリセールス職ですがもっともっと皆さんに認知いただけたらなと思っています。
SIer様で自社の営業力を強化したい、プリセールス部隊を組織したいとお考えの方は是非ご相談ください。