努力によって物事は解決しない
世の中には「努力によって物事が解決する」という刷り込みが深く根付いています。
この思い込みのせいで、チームの成果が出ない原因を自分の努力不足と考え、マネージャーが必要以上に自分を責めたり、「こんなに努力しているのに解決しないのは〇〇が悪いせいだ」とチームメンバーや組織に対して不満を募らせる場面を見かけることがあります。
またまるで免罪符を得ようとするかのように解決の見込みのない努力に躍起になっている人も少なくありません。
このような状態では努力が目標達成の手段ではなく、単に「頑張っている自分」を正当化するための手段に変わってしまいます。
努力すること自体は勿論否定されるべきではありません。
しかし、それが「解決のための手段」ではなく「自分を守るための手段」に変質してしまうと問題の本質に向き合うことを妨げ、物事の解決は遠ざかってしまいます。
「努力によって物事は解決しない」はインド生まれの宗教哲学者、クリシュナムルティの言葉です。
闇雲に努力しただけだけでは根本的な解決に辿り着くことは出来ないということです。
努力が解決の糸口となるためには問題が正しく設定されており、正しいやり方で努力している場合に限られます。
問題を正しく設定するとは、問題そのものを正しく理解するということです。これがなければ途中で何をやっているのかすら分からなくなることさえあります。
ここでいう正しいやり方とは、アイススケートをするのにスノボーを持参しても意味がないのです。
努力は大切ですがそれだけでは必ずしも問題が解決されるとは限りません。
「努力すれば物事が解決する」という思い込みは時として問題解決を遠ざけてしまいます。
物事がうまくいかない時には問題設定を誤っていたり、やり方が間違っていたりすることがあるということを念頭に置いて一度立ち止まってみることをおすすめします。