マネージャーの言語化能力がチームとマネージャーの成長を加速させる

マネージャーとしてチームを率いる上で必須な能力の1つが「言語化」能力です。
言語化能力のないマネージャーの指示ではメンバーは「何を」「なぜ」やるのかを理解できず、それぞれの解釈で行動するようになり、統制が取れません。
例えば「共有フォルダの中身を整えて」といった漠然とした指示では何をどのレベルで整えるべきか分かりません。
具体的に「案件情報は顧客名毎のフォルダを作成し、その配下にPJ単位で年月日_PJ名のフォルダを作成する」といった明確なルールにすることでメンバーの迷いや認識のズレを防ぐことができます。

メンバーに資料の修正を依頼する際にも単なる修正指示ではなく「何故修正が必要なのか」をメンバーに伝えることが重要です。
メンバーが修正理由を理解できれば次回以降の改善が見込めますが、理解できなければ次回以降も同じことを繰り返します。
「何故修正が必要なのか」を理解しないままの修正指示される状態が続くと、メンバーは「どうせまた指摘される」「自分で考える必要はない」と受け身の姿勢に陥ります
この状態になるとメンバーの成長は一向に望めなくなってしまいます。

「何故修正が必要なのか」を理解してもらうためにも言語化能力が必要となるのです。
世の中には「普通はこうするよね?」「こういう書き方が常識でしょ」みたいな指摘をするマネージャーもいらっしゃるのですがこのような指摘では言語化出来ているとは言えません。
何故「普通だと思ったのか」、何故「常識だと思うのか」を第三者が理解できる言葉に表現できなければそれは指摘ではなく、水色が好きです濃いブルーが好きですと同じレベルのただの好みと同じである可能性があります。

自分の好みによる指摘であればメンバーが「どうせまた指摘される」「自分で考える必要はない」と考えてもおかしくはないのです。
自分の好みによる指摘だなと感じるのであれば指摘する必要はありません。どうしても修正したいのであれば自分で修正し、メンバーには「間違いではないのだけれど自分の好みで文言を修正させてもらいました」と伝えればよいのです。

人間は年齢を重ねるごとに自分の経験や価値観が強固になり、世間の常識や普遍的な考え方と無意識に結びつけてしまう傾向があります。
心理学の分野で「自己中心バイアス」と説明されるものです。
この自己中心バイアスはマネージャーやその上位職に着任した際に助長されるケースもあります。
昇進に伴って役職や責任が増えることによって自らの視点や価値観をメンバーに対して「普通」や「常識」として押し付けてしまうのです。
例えば「会議の前に決定事項には事前の根回しが当たり前」や「進捗報告は週一回が常識」といった個人的なルールが該当します。
このような個人的ルールが多ければメンバーが自発的に考えることを止め、チームとしての成長が止まってしまいます。

このような自己中心バイアスに陥らないようにマネージャーは日頃から自分が「これが普通」「これが当然」「これは良い」「これは良くない」と感じたらそれが何故なのかを言語化することが重要です。
マネージャーに昇進するような優秀な人の感覚は大抵正しいのです。その感覚をメンバーにも浸透させ、メンバーの成長を加速させるためにも是非言語化することを意識していただきたいと思います。

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