マネージャーは部門の中の経営者
マネージャーは本来、会社全体の経営目標を意識して売上や利益にも直接的、間接的に貢献する役割を担っています。
この意味でマネージャーはサラリーマンではあるものの、自分は部門の中の経営者であるという意識を持つべきです。
売上や利益とは別の目標達成を求められている場合は売上や利益をその目標に置き換えて読んでください。
例えば人事部門であれば採用コストと採用人数、採用スピードや離職率の改善などが挙げられると思います。
マネージャーには売上や利益に直接影響するような権限はないのではと思う人がいるかもしれません。
しかし、現場の1人1人に直接的な指示命令を出せるのはマネージャーだけです。
現場のメンバーに上位職が直接命令を出すケースもありますが、指揮命令系統が乱れて現場が混乱する可能性がありますので本来は控えるべきです。
どんな大企業であっても、現場の1人1人が売上や利益に直接・間接的に関わっています。
現場の1人1人に責任を持つマネージャーこそが売上や利益に対して責任を持っているといえます。
マネージャー自らが売上や利益を意識することによってメンバーも自ずと売上や利益を意識するようになります。
多くのサラリーマンにとって会社の数字は会社の数字であって自分とは関係がないと考えがちです。
しかし、メンバー自身が売上や利益を意識することによって「会社の一員として価値を生み出している」と高い意識を持つことに繋がるのです。
売上や利益などの目標がセットされている場合、がむしゃらに売上や利益を追うのではなく、その目標を達成するために何をするべきなのかを考えてください。
売上や利益に結びつくKPI(Key Performance Indicatorの略で組織の目標達成度を測るための指標)が何なのかを明確にしましょう。
ここでのKPIは1つではなく、3~5つ程度設定しておくことをお勧めします。
ただし、KPIは複数設定したとしても全てのKPIを平等に追いかけるのではなく、売上や利益への影響が大きいと判断したものを優先的に対策します。
途中でこのKPIは売上や利益への影響が大きくなかったと判断したら優先するものを別のKPIに切り替えてみることも必要です。
具体的なKPIの例としては次のようなものがあります。
・プリセールス部門:新規顧客数、提案数、受注数、契約率、リピート率など
・カスタマーサポート:解決時間、顧客満足度スコア
・プロダクト開発部門:リリース速度、バグ修正率
定期的にメンバーと打合せを行い、売上や利益の達成状況とKPIの達成状況を共有しましょう。
このときにKPIを複数設定していれば新たな発見に繋がります。
期末などの定期的なタイミングでメンバーの成果を数値で示し、売上や利益やその他の貢献をフィードバックすることが重要です。
これによって各メンバーが「自分の行動が会社の成果に繋がっている」と実感できます。
現在は報酬以上にやり甲斐を求める風潮が強くなってきています。売上や利益への貢献は少なかったメンバーであってもKPIを多く持つことによってフィードバックの際に良かった点を提示してメンバーのモチベーション管理に繋げることもできるのです。
ここまででマネージャーは部門の中の経営者という内容でお話してきました。
サラリーマンだからだとか今まで前例がなかったからという自分の中での常識に囚われることなく、自身が経営者なのでという意識であらゆることにチャレンジしていただければと思います。
これまでこのような考えをしてこなかったというマネージャーの方は、まず自分のチームが会社全体の目標にどのように貢献しているかを考えてみてください。
その上でチーム独自のKPIを設定し、メンバーと共有してみましょう。
今日からでも始められる『経営者としての第一歩』を是非実践してみてください。