御用聞き営業からの脱却
営業やプリセールスに携わる方の中には顧客の要望をただ聞いて応える「御用聞き営業」に知らず知らずのうちに陥ってしまっているケースが少なくありません。
このようなスタイルでも仕事を受注することはあるのですが、顧客の信頼を得られず、安定的な受注に繋げることが難しいのです。
具体的には御用聞き営業には次のような弊害があります。
・顧客にとって「言うことを聞いてくれる」存在ですが「相談したい」「頼りにしたい」と思われる存在にはなれません。
・顧客が言葉にした要望だけに対応するため、表面的な対応しかできず、重要な課題が見落とされる場合があります。
「御用聞き営業」というのは一度慣れてしまうとなかなか脱却するのが難しくなってしまう特性があるので営業やプリセールスのマネージャーの方々はよくよく注意が必要です。
「御用聞き営業」になってしまう原因はいくつかあると思いますが「自分で考えるより他人の指示に従う方が楽と考える」「自分の提案に自信が持てず提案できない」の2つが大きいのではないでしょうか。
対策としては「小さな成功体験を積み重ねる」ことが重要です。
具体的にどうすればよいのかというと顧客にひたすらGiveすることに注力するのです。3つほど具体的な事例を挙げます。
1. 他社事例について詳しくなる
例えば、お客様は自社のことはよくご存知ですが、他社事例については情報を得られる機会は多くはありません。
お客様に有益な他社事例を紹介すること(Giveすること)は顧客にとっては非常にありがたいことなのです。
顧客の役に立つ情報を意識することで、それまで気付かなかったITニュースやセミナー情報が自然と目に留まるようになります。
2. 自社と他社製品について詳しくなる
特定製品を取り扱っているのであれば自社製品については勿論他社製品についても徹底的に調べましょう。
自社製品と他社製品の強みと弱みを知り、顧客のニーズに応じて自社製品との違いを具体的に説明できれば(Giveすること)説得力が増します。
また、競合製品の優れた点を認めた上で、自社製品が提供できる付加価値を明確に伝えることは多少不利になったとしても顧客からの信頼を得ることに繋がります。
3. 顧客の真の課題を真剣に考える
顧客からヒアリングした内容をそのまま鵜呑みにするのではなく、背景を含めてなぜなぜなぜとしっかりと腹落ちするまで確認しましょう。
自分の頭で考えて整理していくと顧客が漠然と抱えていた問題やニーズがみえてくることがあります。
顧客から情報をもらう(Giveされる)ことばかり考えてはいけません。顧客に情報を与え、気付きを与えるもの(Giveすること)ことが重要なのです
ここまでで御用聞き営業からの脱却ということでお話をしてきました。
御用聞き営業とは言い換えると顧客から何かをもらう、Giveされることを求めている思考です。この思考を正反対にする必要があるのです。
ひたすらに顧客にGiveすることを続けていると、自分の製品知識と提案力を磨かれるようになります。
製品知識と提案力を磨かれれば結果的に「言われたことをただ実行するだけの人」から「信頼され、頼られる存在」へとステップアップし、御用聞き営業から脱却することができるのです。
巷には御用聞き営業からの脱却方法としていくつもの方法が溢れていると思いますが、まずは「ひたすらに顧客にGiveすること」を心掛けていただきたいと思います。