システム構築は運用チームとの連携を意識せよ
SIerにおいて構築チームと運用チームが衝突するという事例はよく見られます。
両チームの役割や視点の違いから生じる問題が多いのですが、今回はよくありがちな衝突事例と回避策についてご紹介します。
1. 製品・機能選定
構築チームは構築担当の好みだったり興味のある製品や機能を採用しがちです。
今流行りのクラウドを経験したいからといってクラウドをゴリ押しで提案しているといった事例も残念ながら存在します。
別の事例では新VDIシステムを提案して受注したものの既存アプリケーションとの互換性がなく、新VDIシステムでは重要なアプリケーションが動作しなかったという事例もありました。
一方の運用チームは運用実績や運用のしやすさを重視し、新しい製品や機能に前向きではない傾向があります。
Linuxの新バージョンがリリースされても「まだ実績がなく運用ができない」といって運用チームが引継ぎを拒否し、しばらく構築チームが運用していたという事例を聞いたことがあります。
2. 運用を意識した設計
色々な企業様で情報システム部門や運用チームの方々とお話をしてきましたが、新しいシステム導入時に彼らが一番嫌がる言葉があります。
それは「運用でカバー」です。
本来適切に設計すべき設計や作成すべき手順書を放棄し、あとは運用で何とかしろとばかりに「運用でカバー」と言われては腹が立つのは仕方がありません。
一方で構築チームは限られた工数の中で抑える必要があり、引継ぎ直前になって運用チームからあの手順書も欲しい、この手順書も欲しいと言われてもすべてに対応することは出来ないのです。
回避策としてはシステム構築の早い段階から運用チームに根回しをして、参画してもらうことが重要です。
製品選定については見積もり提示前の段階で根回しを行い、引継ぎが必要であれば予めその工数を見積もって運用チームと引継ぎ内容を含めて合意を取っておくのが良いでしょう。
機能選定についても設計段階から運用チームにも参画してもらうのが望ましいでしょう。
SIerにおいては、構築チームが花形とみられるためか運用チームは黙って引継ぎを受けるべしという風潮が強いように感じます。
しかし構築チームと運用チームは役割が異なるだけで決してどちらかの立場が低い訳ではありません。
構築チームと運用チームの双方がお互いの役割、立場を理解および尊重することで上記のような衝突は大きく削減できるはずです。