ネガティブなフィードバックにはポジティブなフィードバックが不可欠
昨今では若手メンバーがネガティブなフィードバックを受けることを嫌う傾向があると言われています。
多くの若手は、誰かから「良い」と評価される経験には慣れている一方で、ネガティブなフィードバックに対して免疫が薄い傾向にあります。
私自身、駆け出しの頃はとても出来の良いエンジニアではなく、文章を書くのも苦手で「お前の文章を読むのは苦行だよ」と先輩にはため息交じりに言われたものです。
時には厳しい指摘もありましたがそれでも何とか今までやって来れたのはネガティブなフィードバック以上に「期待されている」と感じられる場面が多かったからです。
ネガティブなフィードバックにはそれを補うポジティブなフィードバックが欠かせないのです。
終身雇用が当たり前だった時代には、厳しいフィードバックがあっても会社を辞めるという選択肢を取る人は少なく、そこまで配慮は必要なかったかもしれません。
しかし、現代は雇用の流動性が高まり、職場を離れる選択肢が容易になりました。
「叱られ慣れない」で育った若手にネガティブなフィードバックを伝えるためには、以前よりも多くのポジティブなフィードバックが求められます。
それでは、どれぐらいのポジティブなフィードバックが必要なのかというと定量的な基準を設けることは難しいです。
それまで築き上げてきた信頼関係にも依りますし、こちらが発したポジティブなフィードバックをどこまで受け止められているかにも依ります。
重要なのは相手が受け止められる範囲内で伝えることです。
この際、「この程度は受け止められるだろう」という感覚のギリギリまでを伝えてはいけません。
私を含め、多くの人がそうであるように自分の見立てというのはついつい甘くなってしまうからです。
私自身は、「この程度は受け止められるだろう」という感覚の半分以下を目安にしています。
また一度に指摘する内容も1つ、多くても2つまでに留め、相手が理解しやすい形で伝えるよう心掛けています。
ここまででネガティブなフィードバックにはポジティブなフィードバックが不可欠という内容でお話してきました。
若手とのコミュニケーションにおいて「最近の若手は~」「今の世代は~」と考えがちになることもありますが、世代を問わず人は誰しも、自分の自身の価値や成果や成長を認めてもらうことで初めて成長していけるものです。
この本質を理解し、より良いフィードバックの方法を模索することがマネージャー自身とチームと組織全体の成長につながるのではないでしょうか。