自律したエンジニアを育てる方法
自律したエンジニアとは何か、一言で表現するなら「自分の頭で考えることができるエンジニア」です。
自分の頭で考えることができるエンジニアは正しい状況認識と正しい知識があれば大抵のことは解決できるようになります。
正しく状況を認識する力と正しい知識は経験を重ねるごとに積み重なっていきます。
自分で得た情報は記憶に残りやすいので成長しやすいのです。
一方、自分の頭で考えることができないエンジニアはすぐに他人に頼って解決策を求め、自分で考えずに指示を待ちます。
自分で得た情報ではなく、他人から指示された情報は記憶に残りにくく、経験を重ねても成長しにくいのです。
某人材開発コンサルタントの方から「自律したエンジニアかどうかを確認するために敢えて当たり前のことを質問してみる」という話を聞いて実践するようになりました。
具体的には業務委託として情報システム部のヘルプデスクをしているチームメンバーに次のような質問をしました。
何故ヘルプデスクの受付時間がお客様の始業時刻9:00と同じになっているのでしょうか
継続発生している障害状況や本日の作業予定などを共有する時間を取って9:30にしたらどうでしょうか
まだ自律していないエンジニアたちは次のような答えでした。
・前任者たちも同じ時刻でやっていたから
・お客様との契約でそうなっているから
一方、自律したエンジニアというのはその場で回答できなくてもしばらく考えた後、次のように答えてくれます。
・始業時にヘルプデスクが受付していないと直接情報システム部の方に直接電話が入ってしまうことになるので情報共有よりも受付開始を優先させた方が良いと思います
・夜間に発生したシステム障害や回線障害で現場が混乱することもあるので始業時にはヘルプデスクは受付できる体制が望ましい。むしろお客様にご要望をお聞きして受付時間を前倒しすることも検討したいと思います
この問いに正解というものはありませんが、確かに自分の頭で考えているかそうではないかが分かります。
まだ自律していないエンジニアたちは自分で考えることを回避し、手頃な解決策に飛び付く傾向があります。
「〇〇の件はどうすればよいでしょうか」と聞いてきた際には安易に答えを教えるのではなく、「Aさんとしてはどうするべきだと考えていますか?」と自身の考えを聞くようにしましょう。
「このブログに書いてあったのでこのコマンドを打ちたいと思います」と報告があったのであれば「そのコマンドは具体的にはどんな処理が行われるのですか、そのコマンドを実行する際のデメリットや懸念事項はありませんか」など細かな背景まで調べられているのか確認しましょう。
至急対応しなければならない場面など具体的な指示を出さなければならないケースもありますが、エンジニアの自律を促すためには自分で考える癖、自分で裏付けする癖をつけてもらうようにするのが重要です。