優れた情シス部門は舵をベンダーに握らせない
大企業の情シス部門においてベンダーに丸投げ運営されているところは少なくありません。
現状の課題をそのままベンダーに伝えて「これ全部解決して欲しい」とだけ要望する。
トラブルが発生しても「ベンダーのミスがあって現在ベンダーが対応中です」と堂々と社内アナウンスを流す。
情シス部門は手配師ではないのです。情シス部門はベンダーを手配でするのが仕事ではなく、ベンダーをコントロールするのが仕事です。
コントロールするというと上から目線で偉そうな感じがしますが情シス部門にとってベンダーは対等なパートナーです。
自分たちの要求だけをゴリ押ししたり、契約にないことでも平気でやらせるような情シス部門の方も実際にいらっしゃいましたがいずれはベンダーの方からそっぽを向かれることでしょう。
情シス部門にとって大事なことは自分たちで責任を負うところとベンダーにお願いするところを明確に区別して仕事を進めることです。
システムを導入する際にベンダーに発注したとしても、すべてをベンダーだけで進めることは難しいのです。自社特有の条件は情シス部門が責任を負う必要があります。
例えばシステムを導入する仮想基盤によってサーバのデプロイ方法も異なりますし、導入するバックアップ製品、セキュリティ製品などはベンダーは把握してません。
会社固有のセキュリティ要件(UTMを経由する必要があったり、syslogをセキュリティベンダーに送付したり)があったり、システムを利用するユーザー側にも特殊な要件(接続がVPNであったり、端末がスマホだったり)があるかもしれません。
これらのことをベンダーが聞くことが当たり前と思わず、情シス部門が主体的に確認していくことが重要です。
また、ベンダーの構築が終わったとしてもそれで終わりにしてはいません。自分たちの観点で改めてUATと呼ばれる受入れテストを考え、実施することが重要です。
受入れテスト期間中に見つかった不具合であればベンダーも協力してくれますが、テストを軽くみてそのまま検収してしまうと大変な目に合うことがあります。
検収後の不具合は明らかな瑕疵でない限り、ベンダーもなかなか協力してくれません。
またベンダーにお願いする部分とはいってもすべてをベンダー任せにするのではありません。
PJが予定通り進捗しているか、要件がきちんと設計に反映されているか、必要なテストが行われているか、導入手順に既存環境への影響がないかなどは情シス部門側でも確認すべき内容です。
情シス部門は舵をベンダーに握らせてはいけないのです。ベンダーをコントロールするということは情シス部門が最終的には責任を持つという覚悟でもあるのです。
舵取りをベンダーに任せずきちんと情シス部門がコントロールしていれば冒頭にあったようなトラブル発生をベンダーのせいにするなどということは発想すらしないはずです。
過去にプリセールスとして様々なお客様をご訪問し、見積もりを書いてきましたが同じ要件であったとしても信頼できない情シス部門の場合にはリスクを積んで高い見積もりを出していました。
信頼できる情シス部門に出す見積もりは安くなりますし、多少難しい要望があったとしても条件を付けて何とか受け入れるようにします。
先にも申し上げた通り、ベンダーは情シス部門にとっては対等なパートナーなのです。
良いベンダーに巡り合うためにも情シス部門は舵をベンダーに握らせてはいけないのです。