正義感が強すぎると余計な摩擦を生みやすい

キャリア相談を受けていると「自分は正しいことをしているのに、なぜか職場で衝突が多い」、「正しいことを言っているはずなのに、なぜか受け入れられない」 といった悩みを聞くことがあります。
正義感が強いこと自体は、決して悪いことではありません。
問題は、その正義感をどのように周囲と調整していくかという点にあります。

職場では、必ずしも 「正しいことがそのまま通るわけではない」 という現実があります。
例えば、明らかに非効率なプロセスがあったとしても、それを変えるには関係各者への影響の有無や前後の作業プロセスへの影響などを考慮しながら慎重に進める必要があるのです。

非効率なプロセスだからといって、そのようなプロセスになった経緯や変更することの影響を深く考えずに変更を求めるのは性急過ぎます。
これまでそのプロセスでずっとやってきた人たちからすると「現状、困っている訳ではないのに現状を変えろと喚いている人がいる」という風に映っているのかもしれません。

上手に変革させるためには次のようなステップで進めることをおすすめしています。

  1. 現状を理解する
  2. 代替案を示し、相談する
  3. 方向性の協議に入る

具体的には「どうしてこのようなやり方になったのでしょうか」と過去の経緯を確認(1. 現状を理解する)しつつ、
それでもなお変更すべきと思ったのであれば「~~というやり方にしたら効率的で事故も少なくなりませんか」という風に提案する形(2. 代替案を示し、相談する)を取ります。
相手の方々が「確かにそのやり方の方がよさそうだね」と納得していることを確認したら具体的な変更方法や時期についての協議(3. 方向性の協議に入る)に移ります。

自分の考えが正しいという思いが強いと、どうしても強いものの言い方になってしまいがちです。
相手にも「自分なりの正しさ」があった場合、激しく衝突してしまうことがあるのです。

正義感の強い人は組織を変革するだけの力を秘めています。
自分の考えを周囲の方々に理解してもらうためには周囲の方々の立場に立って考える姿勢が必要です。
どれだけ論理的に正しいことを伝えても、相手が「納得していない」「自分が否定された」と感じると、受け入れられません。
だからこそ、まず 「相手の立場に立ち、理解しようとする姿勢」 を示すことが、変革の第一歩になるのです。
「正義感」を「影響力」に変えていくためには「正しさ」よりも「相手の共感」をベースに仕事を進めることが大切なのです。

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