プリセールスにアイスブレイクは必要か
自社のプリセールスを強化したいとご相談を受けた際、タイトルのような質問を受けたことがあります。
結論から申し上げると、扱っている商材が圧倒的な差別化された持っているかどうかで変わってくると考えています。
もし圧倒的に差別化されている商材を扱う場合、お客様は既に商材の価値を理解されており、自社にニーズに合うかを聞きたいと考えています。
このような場合、雑談やアイスブレイクに時間を割くよりもお客様の現状課題や商材によって得られる効果のFit&Gapの調整に時間を割く方が効果的です。
一方、多くの商材がそうであると思いますが、圧倒的に差別化されていない商材を扱う際は商材そのものの魅力だけでなく、プリセールス担当者自身の「信頼感」や「親近感」などが購入決定に大きな影響を与えます。
競合他社との差を「人間的要素」で埋めるということです。
商材自体にそれほど差がないのであればどれだけ「自分たちの立場に立って考えてくれているか」「担当者が信頼できるか」「一緒に仕事をしたいと感じるか」が決め手となることは少なくありません。
ただし、アイスブレイクが重要な役割を果たすと言っても何でも雑談をしていれば良いというものではありません。
相手に価値を提供する、Giveすることをベースとして考えるべきです。
顧客が情報システム部様であった場合には相手に有用そうな情報を提供しましょう。例えば次のような内容です。
- 御社でも導入しているA製品のライセンスが急激に値上がりしてB製品に乗り換えするお客様が多いのですが御社ではご検討は始めていますか?
- WSUSの廃止が決定したそうですがその後のパッチ配布については方針は決まりましたでしょうか
- VPN経由でのランサムウェア被害が圧倒的多数ですがVPN機器の脆弱性対策はされていますか
- 現在導入済のCentOSの後継としてどのOSを採用されますか
多くの情報システム部門の方々は、自社システムに関しては深い知識を持っていますが、他社事例についての情報を得る機会が限られています。
他社事例をお伝えすることはとても価値のあることのようで、とてもありがたがってくださいます。
また、業界の最新動向や他社事例を多く知っているということでプリセールス担当者としての専門性をアピールでき、お客様の信用を得る事に繋がります。
ここまででプリセールスにアイスブレイクは必要かというお話をしてきました。
私自身もプリセールスとしてたくさんのお客様に接してきましたがお客様に信頼いただけたと感じる瞬間は「業務と全く関係のないご相談をいただいたとき」です。
時には個人的な相談ごとであったり、ご自身の趣味の話であったり、会社の愚痴であったり、多岐に渡ります。
業務に関係のない話にどこまで関わるべきかについては個人の判断になると思いますが、このような関係が構築できたお客様からは社内でも公開されていない話を打ち明けてくださったり、別のお客様をご紹介いただけるといったこともありました。
このように考えるとアイスブレイクや雑談は単なる「場を和ませる営業テクニック」ではなく1人の人間としての生き方そのものでもあるような気がしています。