現場上がりのマネージャーはトップダウン思考を受け入れなければならない
エンジニアとして現場でのキャリアを積み上げてマネージャーになった方々はすべからく事実やデータに基づいて結論を導くボトムアップ型の思考が染み着いています。
ボトムアップ型の思考は問題の原因やプロセスを細かく分析し、そこから最適な問題の解決策を見出す、もしくはプロセスが改善されるため、現場の問題解決やプロセス改善に非常に有効です。
一方、経営層は目標と期日を決め、期日までに何とか目標を達成しようとするために組織をリードしていくトップダウン型の思考を持っています。
マネージャー層は現場の視点を配慮しつつ、経営層の意図をどのように現場に浸透させるかという視点も持つことが重要です。
メンバーが「経営層は何でこんな無茶な売上予算を立てるんだ。どうやっても無理じゃないか」という意見があったとして「そうだよな。今までの売上からしたらこんなの絶対無理だよな」と現場の意見に寄り添っているだけはマネージャーの役割としては失格と言わざるを得ません。
このケースでは「そうだよな。かなりチャレンジングな予算だと思う。でも経営層はA社が製品ライセンスを大幅値上げした今だからこそ積極的にシェアを奪う機会だと考えているんだ。これまで通りの売り方に加えてこの機会に新しい販売戦略を考えてみたいと思うんだ」といったように経営層の意図を汲み取って現場に伝える役割であることを意識してください。
これまで染み着いたボトムアップ型の思考からトップダウン型の思考を受け入れるために気を付けるべきポイントについてお話します。
1. 経営層の意図を深く理解する
トップダウンで指示される目標やビジョンの背後にある経営層の意図を理解することが必須です。
その理解がなければ先の例で示したような経営層の考えを現場に伝えることはできません。
「なぜこの目標が必要なのか」「会社全体にどう影響するのか」などを把握することで、現場に説得力を持って伝えることができ、意図のズレを防げます。
自分の言葉で説明できるように自分自身がまずは納得できるところまで理解することが重要です。
2. 目標を現場に合わせた具体的な施策に分解する
経営層から示される指示は大まかで抽象的であることが多いです。
現場のメンバーが理解できるように具体的な目標に分解し、場合によっては目標をいくつかの段階に分けることが必要です。
また、定期的に目標に向かって進捗を確認し、目標達成が難しそうであれば、方法を工夫したり、変えたりして目標達成を目指します。
どうしても目標に達成しそうになく、現場の士気に関わるときには目標を現実的なところに落とすことが必要です。
3. 現場のフィードバックを経営層に伝える
経営層からの指示一方向で現場に伝えるだけでなく、現場責任者として現場の意見をフィードバックすることも重要です。
トップダウン思考を受け入れる必要があると記載しましたが、ボトムアップ思考も重要です。
現場視点からのフィードバックを適切な形で経営層に伝えることによって今後の方針がより洗練されたものとなります。
4. マネージャー自らが率先垂範して目標に取り組む
トップダウン思考を受け入れるには「上から言われたから」という受け身の姿勢ではなく、自分事として目標に向かって積極的に取り組む姿勢が大切です。
行動を伴わない言葉は軽く、行動を伴った言葉には重みがあります。
思考と感情と行動と言葉と環境のすべてを目標達成に向けている人の言葉には凄みさえ感じます。
ここまでで現場上がりのマネージャーはトップダウン思考を受け入れなければならないということについてお話しました。
これまで染み着いたボトムアップ型の思考からトップダウン型の思考を受け入れるというのは困難なことではありますが、組織で人をまとめる仕事をするのであれば絶対身に付けなければならないことです。
大変なことだと受け止めた方もいらっしゃるかもしれませんがトップダウン思考を受け入れるということは組織で働くことの醍醐味といっても過言ではないように思います。
新しいマネージャーの皆さんにとってはこれまでの成長とは一味違った成長を味わえると思います。是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。