SIerとしての価値
製品のバージョンアップする際、皆さんの会社ではどこまで事前準備を行っているでしょうか。
私自身が特定製品の運用を実施していた頃、製品バージョンの際にはメーカーやサポートに新しいバージョンでの既知の不具合、注意事項、留意事項がないかを確認する他、実機で下記のようなことを検証して確認していました。
・バージョンアップ手順の確認:公開されている手順のまま実施できるか
・製品基本動作の確認:利用している各機能がバージョンアップ前後で変更なく利用できるか
・新規、変更、削除されたパラメータがないか:特に新規、変更になったパラメータについては運用に影響がないか、何が最適かを設計する
・バージョンアップ後の負荷状況の確認:バージョンアップ前後でパフォーマンス負荷に大きな変化がないか
検証コストを考慮する場合、検証を簡易に済ませ問題が発生したときに初めて対応をするという方法も良いかもしれません。
ただ、多くのユーザーが利用し、問題発生時に運用に支障がでるようなシステムにおいてはこれくらいの確認は必要だと思います。
製品バージョンアップで実際に問題が発生することはあまりないかもしれません。
問題の大小にも依るかもしれませんが8割くらいは何も問題なく、利用できるケースがほとんどだと思います。
残りの2割の問題をどれだけ事前に排除できるかどうかがSIerとしての価値になるのではないでしょうか。
実際にバージョンアップ時に問題が発生しましたが、新規や変更されたパラメータを洗い出していたため、サポートに確認してすぐに対処できた事例がありました。
事前にパラメータ差分を確認していなければ復旧までに多くの時間を要していたでしょうか。理想をいえば作業前に気付くことができれば良かったのではありますが。。
私は普段外食をすることがほとんどありませんが大きな仕事が一段落すると決まったお店に食事に行くことにしています。
そこで提供される飲み物と食べ物にはとてもこだわりがあって丹念に下拵えがされています。タルタルソースを作るのにも市販のマヨネーズを使わず、生卵から手作りします。
それにも関わらず店主はどれだけ準備が大変だったかを自分からわざわざ口にすることはありません。尋ねられたときにだけ素材がどんなものであるか、特別な作り方であるかなどをお話してくれます。
こちらの手間や労力なんて気にせず食べてくれる人が美味しく感じてくれればいい。そんな風に思っているのかもしれません。
自分のやりたかった仕事というのはまさにこういう仕事なのだと確認するために足を運んでいます。
エンジニアとして20年以上のキャリアがあるので手を抜こうとしてもそれなりに成果を出すことはできます。
お客様からみればいきなり本番でバージョンアップをしようが上記のように丹念に検証まで実施していようが気付かれることはあまりないかもしれません。
しかしながら私はお客様の大切なシステムを預けていただいているのだからSIerとして手間を惜しまずできるだけのことをやろうと思うのです。
勿論、納期が最優先であり、納期に間に合わせるために完璧に出来ない場合もありますが可能な限りのことをしてきたつもりです。
その小さいこだわりの違いこそがエンジニア個人の成長やお客様の信頼にも繋がるのだと信じています。