マネージャーにはメンバーのモチベーション管理が必要か
マネージャーとしてメンバーのモチベーション管理にどこまで関わるべきかという質問を受けることがありました。
結論としてはメンバーのモチベーション管理は必要ですが、過度に神経質になる必要はないし、メンバーにおもねる必要もないと思います。
具体的には、メンバーのモチベーションを下げるような言動や態度には気を付けるべきですし、メンバーが望むキャリア沿っているかということについては注意が必要だと思います。
仕事を依頼する際もこれやっておいてあれやっておいてと単に指示するだけではなく、重要な仕事を依頼する場合は背景や目的を丁寧に伝えることが重要です。
丁寧に伝えることでメンバーのモチベーションを上げることができますし、メンバーが重要性を理解し、ちょっとしたイレギュラーがあっても自分で判断できるようになり、結果的にメンバーが成長することにも繋がります。
ただし、個人的には「〇〇のせいでモチベーションが下がっている」と自分から公言する人は好きではありません。
モチベーションを上げるのは本人のスキルの1つであり、他者から影響を受けることはあるものの最終的には本人の責任であると考えているからです。
私は上記のような発言を聞いたらこれ以上モチベーションが下がらないように配慮する姿勢はみせますが、出来る事と出来ない事ははっきり伝えています。
日頃からメンバーに声がけすることを意識し、違和感を覚えたら時間を取って話をしましょう。
今の業務に不安や不満がないか確認し、必要であれば業務の変更や部署異動を含めて検討すれば思わぬ退職は大幅に削減できるはずです。
【エンジニアのモチベーション管理に通ずる言葉】
誰もが知る「初心忘るべからず」という言葉は能の大成者である世阿弥が著した「花鏡」にある一節です。実子に向けた秘伝書だと言われています。
是非の初心忘るべからず :未熟だった頃の芸を忘れず、精進しなければならない
時々の初心忘るべからず :その時々においての変化を受け入れ、未熟な部分があることを忘れず、精進しなければならない
老後の初心忘るべからず :老年になったからといって芸に完成はない、未熟な部分があることを忘れず、精進しなければならない
一般的には「最初の新鮮な気持ちを忘れてはいけない、初志貫徹」というニュアンスで使われていますが本来の意図はキャリアを重ねていく各ステージにおいてまだまだ未熟な部分があることを忘れてはならないということです。
もう1つ大事なメッセージはその時々のキャリアのステージに合った演じ方をすること、変化が大切だということです。
世阿弥の残した「能」を現代に受け継ぐ能楽師、安田登さんの『能 -650年続いた仕掛けとは-』にある文章ですが、エンジニアのモチベーション管理について考える上でも非常に有効な言葉だと思います。
初心の「初」という漢字は、「衣」偏と「刀」で構成され、もとの意味は「衣(布地)を刀(鋏)で断つ」。
すなわち「初」とは、まっさらな生地に、はじめて刀(鋏)を入れることを示し、「初心忘るべからず」とは「折あるごとに古い自己を裁ち切り、新たな自己として生まれ変わらなければならない」という意味なのです。